買い物かご
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何だか全ての事が酷く滑稽に思えてくる
少しだけ雪の舞う夜に恋人でもない女と
さもお似合いですねとでも言わんばかりの距離感で
男は地下鉄に乗り込むのであった
その時、ふと違う男のことを思い出した
男は結婚していて妻がいて犬を一匹飼っている
二人は似ているような
しかし冷静に見ると全く似ていない存在なのではあるが
無くしたものは数え切れないほどで
探しているものは必ず見つかりはしない
居心地の悪さバツの悪さとでもいうのか
四肢を眺めながら『あぁ』とか『はい』しか言えないロボットへと
肉体を昇華させてはみたものの
いざ店を出ると家へ誘うことなどできるわけもない
今宵命の在処を知りたいと願っては
欠けた夜 朧月
欲望に塗れたまま
無くしたものは数え切れないほどで
探してるものは必ず見つかりはしない
君の隠している秘密